ウェディングケーキから仏花まで 特別な日を彩るクレイアーティスト 金谷早苗さん

インタビュー

札幌を中心に北海道で活動するクリエイターを、多彩な工作機械だけでなく情報発信からも応援したいとスタートした「 SHAREGARAGE ~ SAPPORO ものづくりコミュニティ~」。今回インタビューのマイクを向けたのは、SHAREGARAGEをレッスンスペースとして利用しているクレイクラフト講師の金谷早苗さんは、3年前からCreativeLounge SHAREに在籍している会員さんです。レッスン開催だけでなく、ウェディングシーンや写真館の撮影に作品を提供するなど、クレイクラフトビジネスの幅を広げる金谷さんがどういうきっかけでものづくりに目覚めて現在の活動を始めるようになったのか、どうしてSHAREを利用しているのかについてお聞きしました。

金谷早苗さん クレイクラフトアーティスト・講師
クレイクラフト・クレイフラワーブランド Ariannaを運営
多くの物があふれ、欲しい物はすぐ手に入る時代だからこそ、手作りには価値がある。
手のひらで自由自在に色や形を作れるクレイクラフト通してものづくりの楽しさをお届けすることをコンセプトに、札幌でシュガークラフトやフラワーデザインの技術を応用した、クレイクラフト作品の販売と教室運営をおこなっている。
日本の湿潤な気候を考慮し、シュガークラフトからその技術をクレイクラフトに応用することを決めクレイクラフトを学び現在に至る。
■資格
・マミフラワー渋谷校  専攻科終了
・ホームメイド協会   シュガークラフト講師
・DECOクレイクラフト 認定講師
・WILTONメッソドⅢ  終了

クレイクラフト・クレイフラワー アリアンナ
https://www.clay-arianna.com

 

ものづくりへの目覚めー

ー金谷さんがものづくりに目覚めたきっかけを教えてください。

「小さい頃は病気がちだったので、他の子と一緒に外で遊んだりできなかったんです。なので家の中で編み物とかフェルトで人形を作ったりしていました。それがものづくりを始めた最初のきっかけでした。でも、図工とか家庭科の成績はあまり良くなかったんです(笑)。」

運命的な出会いー

ーどういうきっかけでシュガークラフトに興味を持ったんですか?

「若い頃ロンドンに行った時に、ウェディングショップにディスプレイされたウェディングケーキに一目惚れしたんです。学生時代に結婚式場でアルバイトしていて、ダミーのウェディングケーキを運ぶ係だったのですが、その時の私はウェディングケーキに対して『ケーキカットをするもの』といった程度の印象だったんです。でもロンドンで見たウェディングケーキは、日本のダミーケーキとは違い、クラシカルで芸術性が高く心を奪われてしまいました。いつか自分でも作ってみたいなって思ったのがきっかけですね。」

ーシュガークラフトはロンドンが有名なんですか?

「そうです。シュガークラフトはイギリスの伝統手工芸で、赤ちゃんが生まれた時のベビーシューズとか、ウェディングケーキとか、記念日ごとに彩るアイテムとして作られてきた工芸品なんです。」

シュガークラフトを日本の気候に合わせた形にー

ーシュガークラフトを始めたきっかけを教えてください。

「結婚、出産と私生活の方でバタバタしてたんですが、子供が幼稚園に入ったのをきっかけにシュガークラフトを習いに行きました。よく普通のケーキを作る時も飾りでやりますけど、『絞り』の技術や、カバーリング、バラの花をシュガークラフトで作る方法などを3年ほどかけて勉強し講師資格を取りました。」

ーどうしてシュガークラフトからクレイアートに転向したんですか?

「シュガークラフトはイギリスのような空気が乾燥している地域だとかなりもつんですけど、湿気の強い日本では作品が劣化してしまうんです。せっかく作った赤ちゃんのベビーシューズやウェディングケーキがダメになってしまう。そこでシュガークラフトに変わるものはないかって探していた時に、粘土で作れば半永久的に作品を残せると思ったので、シュガークラフトの技術やテクニックを取り入れたクレイクラフトに転向しました。」

クレイクラフトだからできることー

ー現在の活動について教えてください。

「今はSHAREのレッスンスペースで週1、2回ワークショップを開催しています。あとは、オーダーを受けてウェディングケーキや仏花などを制作しています。ウェディングケーキは小さいサイズで納品することが多いです。ウェディング系だとリングピローとか、写真立ての額装を作ることもあります。これらはレッスンでも人気のモチーフなんです。」

ー仏花のオーダーもあるんですね。

「仏花って菊のイメージですよね。昔はバラはダメとか色々あったんですけど、最近は残された遺族の方が慰められるようにしきたりにこだわらず、お父さんお母さんが好きだった花を作ってくださいとか、明るいお花にしてくださいとか、そういったオーダーが多くなってきました。インテリアに合うようにとか、最近のモダンなデザインの仏壇に合うようにといった感じですね。造花で作る方もいらっしゃるんですが、お客様の好みに合わせて一から制作するクレイクラフトの作品はとても喜んでいただけます。」

自分の世界を表現したいー

ー金谷さんのものづくりの原動力はなんですか?

「自分の世界観を表現したいという欲求です。美しいものとか綺麗なものを見るとすごく感動するじゃないですか!なので感性を養うために美術館にも行くし、美しい景色を見に行くこともあります。あとは、デパートとかホテルのディスプレイは欠かさずチェックするようにしています。そういうものに刺激を受けて、どうやったらこの美しさを表現できるのかを考え、自分のクラフトに生かして自分の好きな世界を表現しています。」

ー金谷さんのデザインの原点はなんですか?

「もちろんシュガークラフトです。そしてシュガークラフトで培った技術が、自分の普段の身の回りで感じた感性と合わさってデザインとして昇華しています。また、ウェディングという人生で最高の記念日をもっと素敵に彩りたいという気持ちも原点として大切にしています。」

技術や情報を伝えるだけではなく、その場を楽しんでもらうことが大事ー

ー講師として気をつけていることはありますか?

「やっぱり生徒さんに楽しんでもらうことです。形になって物をお持ち帰りいただくのは当たり前のことで、大事なのは作ってる時間をどうやったら楽しんでもらえるかなってことだと思うんです。今の時代ってインターネットで調べたらクレイクラフトの作り方なんていくらでも調べられますよね。でもそんな中、生徒さんたちはわざわざお金を出して時間を作ってきてくださっているので、やっぱりプラスαとしてネットでは拾えない技術を教えたいと思っています。そのためには、例えば同じバラでも何度も何度も練習してコツを覚えて、誰でも作れるようにお伝えできるように日々考えています。お金と時間を使ってきてくれる生徒さんの思いに応えたいっていう部分は大きいです。」

インスタグラムからファンが増えることもあるー

ー認知度を上げるために取り組んでいることはありますか?

「インスタグラムは最近やり始めました。そして、インスタグラムを見て興味を持ってくれるお客様が多くなったような気がします。ブログだと文章がメインになってしまうので、インスタだとパッと見ただけで作品のテイストがわかるしカタログ的に表示されるところがいいと思います。でも写真を撮るのが難しくて、いつも試行錯誤しています(笑)。あと、必ず※©️を入れるようにしています。以前私の撮った写真がそのまま別のものに使われていたことがあって。。。皆さんも気をつけてください。」

※©️(コピーライト)・・・著作権者を明記し主張することで、無断利用への抑止力となるマーク。

ハンドメイドを稼げるビジネスにー

ー今後の目標を教えてください。

「講師としての活動は今後も続けていきたいと思っています。レッスンの時に生徒さんが『すごくかわいい!』って言ってくれることが嬉しいですし、やっぱり女性にとって『かわいいものが好きだ』っていうの気持ちは大事だと思うんですよね。生活必需品ではないのかもしれないけど、生活の中に遊びがあることはすごく重要だと思うので、生徒さんが喜んでくれるように頑張りたいです。あとは、ビジネス面でもクレイアートを発展させたいと考えています。ハンドメイドってビジネスになりにくいって言われていますよね。特にレッスン講師なんかは。。。そこで、結婚式場のウェルカムスペースをターゲットに、ウェディングケーキやリングピローなどの商品をレンタルするビジネスに挑戦したいと考えています。生徒さんの中から、クレイアートを仕事にしたいという人たちが出て来た時に、“ハンドメイド=お金にならない”っていう印象を変えてビジネスとして発展させられるように自分が道筋となっていきたいと思っています。」

ここからは金谷さんにSHAREのオフィス利用についてお話をお聞きしました。

日当たりの良い素敵な空間ー

ーSHAREでレッスン開催することになったきっかけはなんですか?

「自宅で細々とやっていたんですけれども、ブログなどを通して生徒さんから『もっと便利なところでやっていただけませんか?』ってお問い合わせがありまして(笑)。そんな時に、SHAREで開催されたハンドメイドセミナーに参加してこの場所を知りました。日当たりが良くて素敵な空間だなあというのが第一印象でした。クレイクラフトは自分で色を作る工程が多いので、自然光が重要なんですね。それに地下鉄大通駅からもバスセンター前駅からも札幌駅からもアクセスできるので、生徒さんからも参加しやすくなったって仰っていただけてます。今では北広島、美唄、小樽からも生徒さんが来てくれるようになりました。」

ジャンルの違うクリエイターさんとコラボできるー

ーSHAREに来て広がったことはありますか?

「以前はカルチャーセンターの講師としてのつながりしかなかったんですけど、SHAREに来てからは全く違うジャンルの人と繋がることができたし、周りの人たちから刺激を受けて作風も変わりましたね。それまでは電子クラフトを作品に取り入れようなんて考えたこともなかったし、でもそれを取り入れたことによって興味を持ってくれる人の層が広がったんですよね。ジャンルの違うクリエイターさんたちのつながりによって、作風の幅が広がるすごくいい経験ができました。」

工作機械にも挑戦してみたいー

ー今後SHAREでどんなことをしたいですか?

「自分の作品のオリジナリティを高めていくために、レーザーカッターなどの工作機械を使って、例えばオリジナルの道具、型抜きとかを作ってみたいなあと思っています。せっかくここを利用しているので、レッスン講師としてだけではなく、工作機械も使いこなせるようになりたいです!」

最後に金谷さんのクレイアート教室に通われている生徒さんにお話をお伺いしました。

ーどういうきっかけで教室に通うようになったんですか?

「金谷先生のクレイアート教室を見つけたのはネットでした。他にも教室はあったんですけど、金谷先生の作風が一番好きだったので思い切って体験に申し込んだのがきっかけです。」

ー実際に参加されてどうでしたか?

「私は事前に作りたいもののイメージをスケッチして準備しているんですけど、先生と相談しながら自分の作りたいものが徐々に形になっていくのがすごく楽しいです!」

ーどういうきっかけで教室に通うようになったんですか?

「お友達の紹介で参加したのがきっかけです。」

ー普段はどんなものを制作しているんですか?

「レッスン内の課題作品を、自分で用意した小物やスワロフスキーなどでアレンジを加えたものを作っています。自分好みのデザインでものづくりができるのが、先生のレッスンの魅力の一つだと思います。」

creators file 第11号の金谷早苗さん、ありがとうございました!

CreativeLounge SHAREのオフィス「TOWORK」では札幌を拠点にビジネスを始めたいと考えている起業家、個人事業主の方をサポートしていきます。ビジネススクールなどの創業支援事業はもちろん、多彩な工作機械を備えたガレージスペースもあるので、自分のやりたいことを実現することができます。無料説明会も随時開催しておりますので、お気軽にご相談ください!

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