アーティスト 鈴木果澄さん

工作機械コラボ

イラストと共に言葉を綴る
北限のアーティスト 鈴木果澄さん

札幌を中心に北海道で活動するクリエイターを、多彩な工作機械だけでなく情報発信からも応援したいとスタートした「 SHAREGARAGE ~ SAPPORO ものづくりコミュニティ~」。今回インタビューのマイクを向けたのは、自然や動物たちをモチーフにした作品を絵だけでなく様々な形で表現するアーティスト、鈴木果澄さんです。鈴木さんの普段の作品制作の様子や現在の活動、今後の目標についてじっくりお話をお聞きしたので皆様にご紹介したいと思います!またSHAREGARAGEのUVプリンターを使ったがま口ポーチの制作風景をレポートしましたのでご覧ください。

鈴木果澄さん アーティスト
絵を描くことをはじめ、製本やボックスアートの表現制作、個展などの展示、ライブペイントやワークショップイベントを開催し、イラストレーターとしても活動する。
主な個展
2009 個展「光と影の世界-START LINE-」/ さぱらホール
2010 Blakiston – 札幌駅ARTBOX・優秀賞受賞「a stratum-地層とともに眠る記憶-」
2012 札幌芸術の森美術館「パラレルワールド冒険譚」出品
2013 カンパーナ六花亭美術館 – 神々の遊ぶ庭個展「太陽の物語り」
2014 個展「Esperant」/北海道文化財団企画展アートホール
2014 札幌芸術の森企画展「Sprouting Garden-萌ゆる森-」出品
「風と星のような物語り」佐藤忠良記念こどもアトリエ
/札幌国際芸術際特別連携事業
2014 個展「太陽の物語り-The story of sun.-」/STVエントランスアート
2015 北海道三岸好太郎美術館企画展「わんわんワンダッフル」展 出品
2016 個展「ある神話のはなし」/ 大丸藤井セントラルスカイホール
2017 Blakiston展 北の片隅のアトリエより/台北田園城市生活風格書店
2017 個展「ある神話のはなしー地図と風景に纏わるはなし。ー」/ギャラリー門馬ANNEX
2018 個展「ある神話のはなしーその先にあった風景のはなし。ー」/ギャラリー門馬本館
2018 個展「春賛歌日記」/新宿伊勢丹

主な仕事
ホルベイン画材とのコラボレーション【CROQUISE MEMO】/
カメヤマキャンドルコラボレーション【1/f candle】/
大丸藤井セントラルコラボレーション
マスキングテープ【Masing tape of story.】/
ドラマ【北の国から】30周年記念ポスター/
六花亭【北の国から】パッケージデザイン/
NHK【きょうの料理】オープニングイラスト/
ミュンヘンクリスマス市2015-16メインビジュアルなど。
ホームページなど
http://www.visionquest-jp.com/kasumin/

私の生活の中心は作品制作ー

ー普段どのように作品制作をしているんですか?

「今は住まいとは別にアトリエがあるので、毎日そこに行って作品制作をしています。その毎日の繰り返しが私にとって全てなんです。」

ー鈴木さんの作品には自然のモチーフが多いような印象を受けました。

「子供の頃に父が北海道のいろいろな場所へキャンプやカヌーによく連れて行ってくれたんです。作品の背景にあるものはその時の記憶も大きくある気がします。自然のある風景はとても好きだなって思います。休憩する時はアトリエの近くに公園でぼーっとしたりしてます。家で寝転がって星を見たりすることも好きです。見てくれた人が、それぞれの記憶と重ねたりしながら、作品から何か感じ取ってもらえると嬉しいです。どんどん作品を発信することも大事だと思うけど、まずその前に『いい作品を描く』、そのことに全力を注ぎたいんです。

空間を作品とすることー

ー学生時代から絵を描くことが好きだったんですか?

「高校生の時に、二頭身くらいの女の子のイラストに筆文字の自作の詩を添えたイラストをよく描いていました。当時は今思うと恥ずかしくなっちゃうような詩をイラストに添えてました(笑)。小学2年生の頃から書道を習っていて、文字や詩を書いたりするのも好きだったんです。自分の作品には物語や言葉も一緒に展示することが多いです。専門学校時代の卒業制作では、校舎の廊下のスペースに小屋のようなしきり空間をつくり、その中に水の池をつくって水の表面に自作の映像を投影しました。一枚一枚の絵を展示することもしますが、一つの空間を創り、それを一つの作品にする、そういった表現が昔から好きだったんです。」

最初のお仕事は、運命的な出会いがきっかけー

ークリエイターとして活動を始めたきっかけはなんですか?

「(※1)2008年のミュンヘンクリスマス市に、(※2)工房アルティスタさんが企画しているクリスマスポストカード展に出品したんです。実はその時販売スタッフとして店頭に立ってたんです。そしたらあるお客さんが『これ良いんだよなー』って褒めてくれて、『それわたしの作品なんですよ』とお声がけさせていただいたのが工房アルティスタの社長さんだったんです。その出会いをきっかけに、後日アルティスタの社長さんに作品をお見せする機会をいただきました。その時、女の子のイラストに自分の詩を添えた作品を気に入っていただきポストカードとして販売させていただくことになったんです。商品は全32種類描き上げて、テレビ塔の物販エリアで販売したのがクリエイターとして一番最初のお仕事でした。そこからお土産屋さんとか色々なところに置いてくれました。『絵で生きていきたい』っていう私の背中を押してくれて、支えてくれたきっかけになりました。」

※1)ミュンヘンクリスマス市・・・ドイツ・ミュンヘン市と札幌市の姉妹都市連携30周年を記念して始まったイベント。クリスマス間近の約1ヶ月間、大通公園にクリスマス雑貨などの屋台が並ぶ。
※2)工房アルティスタ・・・キャラクターの製作やオリジナルグッズの販売などを手がける会社。

ー現在どのような活動をしていますか?

「毎年個展は必ず続けると決めてやってきました。物販のイベントなども時折参加することもあります。制作ユニットの『Blakiston.』でオリジナルブランドを築き、制作しています。あと、昨年からハンドマーケットイベントに出展するようになりました。去年の10月の(※3)NEVER MIND THE BOOKS 2017などにも出店してたりします。メディア関係だと放送は終了してしまいましたが、『NHKきょうの料理』のオープニングイラストを担当したり、ミュンヘンクリスマス市のビジュアルイラストを3年ほど担当させていただきました。」

※3)NEVER MIND THE BOOKS・・・DIYやセルフパブリッシングが好きな人のためのイベントです。

ーお仕事はどのようなきっかけで依頼されますか?

「個展やホームページで作品を見てくれた人や、広告代理店、デザイン会社など様々です。お仕事はクライアント、デザイナーがイメージされたものを描くこともあれば、構成から受けることもあります。作家性を大きく出してほしいと言われる時は本当に嬉しく思います。」

きょうの料理OPイラスト

たかだ農園minamiパッケージ

自分の作品を見て喜んでくれる人がいるー

ーどういう時にやりがいを感じますか?

「先日、東京で初めて展示会を開催させていただいた時に、ずっと私のSNSを見てくれてた方が来てくれて作品の感想をすごく熱心に伝えてくれましたんです。そういうお客様がいるとわかった時は『描いてよかったなあ』と嬉しくなります。ありがたいです、本当に。仕事の時は、クライアントさんが出来上がったものを見て『良いものができました。鈴木さんにお願いしてよかったです。』と言ってもらえると達成感を感じます。あとは、自分が描きたいものが描けた時に喜びを感じます。」

ある神話のはなし-白鯨-

作品の形にこだわらず挑戦していきたいー

ー今後の目標を教えてください。

作品の形を一つに決めないでやりたいなと思っています。これからも色々なことに挑戦していきたいなと思っています。」

今ものづくりをしている人にアドバイスはありますか?

「自分もこの道を進んできた中でいろいろ悩んできたし、今も悩むことは多いですが、でも正解はないので、自分が出した答えを信じて進んでいくことだと思います。また悩んで、やって、その繰り返し。経験を積むしかないことだと思うので。みんなが通ってる道なので、悩みも糧にして進んでいけたらいいと思います。」

ここからは鈴木さんが普段どのようにSHAREGARAGEを利用しているのかをレポートしていきます!

紙以外の素材にも高解像度印刷ができるー

スタッフー「鈴木さんはUVプリンターを使って何を制作しているんですか?」

鈴木さんー「がま口ポーチの絵柄を白い牛革にプリントしています。」

印刷開始ー

スタッフー「UVプリンターの精度に関してどう思いますか?」

鈴木さんー「手描きの雰囲気を生かしたまま牛革にプリントできるのが本当にすごいと思います!私は最近ようやく慣れてきたんですけど、ある程度作業を覚えたらスムーズに印刷ができるようになりました。でも革への印刷の距離感などで難しいこともあるので慎重にやっています。」

印刷の合間に準備するー

スタッフー「時間内にたくさん印刷するコツはなんですか?」

鈴木さんー「印刷中に次に印刷するものをどんどん準備しておくことですかね。機械を時間で貸していただいているのでそういうロスをなるべくなくすことが大事だと思います。」

印刷終了ー

スタッフー「すごく可愛いがま口ポーチですね!」

鈴木さんー「今回印刷していたものはよく購入して頂けてる絵柄です。このがま口ポーチはオンラインショップで購入することができるので、もし気いっていただければ手に取っていただきたいです。」

SHAREで作品を商品にできるー

ーSHAREを利用して作品制作に変化はありましたか?

「自分の作品を商品として販売できるようになったというのは大きいですね。ここではUVプリンターを使ってイラスト入りのガマ口ポーチを制作しています。SHAREさんのような工作機械がたくさんある場所は作家にとってありがたい環境だと思います。スタッフさんに素材の相談ができたり知識も広がる。こういう場所があるってすごく嬉しいです。」

creators file 第15号の鈴木果澄さん、ありがとうございました!

SHAREGARAGEではものづくりをするアーティスト、クリエイターの方たちをサポートしていきたいと考えています。UVプリンターやレーザーカッターといった工作機械に興味があるけどどんなことができるのか、自分のやりたいことを実現できるのか、そんな風に考えている方は、幅広い作品制作の可能性を広げるスタッフサポートまでお気軽にご相談ください!

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