美術作家 シミー書房 新明史子さん
本作りを通して表現する 日常生活に溶け込む美術作品
美術作家 シミー書房 新明史子さん
札幌を中心に北海道で活動するクリエイターを、多彩な工作機械だけでなく情報発信からも応援したいとスタートした「SHAREGARAGE ~ SAPPORO ものづくりコミュニティ~」。今回インタビューのマイクを向けたのは、夫婦二人三脚で活動する美術作家 シミー書房の新明史子さん。今回は、詩やストーリー、デザインを担当する新明さんにものづくりに目覚めたきっかけやシミー書房の活動や今後の目標についてお聞きしました。また、SHAREGARAGEのUVプリンターとコラボレーションし、ノートの表紙、背表紙、裏表紙にシミー書房デザインを印刷しました。その様子もレポートします!
美術作家 シミー書房 新明史子さん
北海道教育大学美術科 卒業
筑波大学大学院修士課程芸術研究科 修了
2008年 シミー書房をスタート
日常生活に心地よく存在する美術作品を本で表現する
委託店舗
ヒシガタ文庫
ニシクルカフェ
モンクール
札幌芸術の森美術館ミュージアムショップ
インスタグラム(@shimmybooks)
芸術作品のとしての本作りー
ーシミー書房さんが作られる作品は、絵本とはまた違ったカテゴリーなんですよね?
「そうですね。自分たちでもカテゴリー分けするのが難しい部分があるのですが、挿絵あるの本作りを主に活動していますが、子供向けの絵本というようには考えてはおらず、ターゲットはもっと広いです。言うなれば、ブックアート的な要素と手製本としての要素を組み合わせたアート作品といった感じです。普通の生活の中に溶け込むような美術作品を作りたくて、私自身本という形が好きだったのでそのような形で作品を作っています。」
ー現在のシミー書房としての制作を始めたきっかけはなんでしたか?
「美術作品としての本の制作を続けていたのですが、本を美術館に展示してもらうというのがとても難しくて。本は手に取ってもらわなければ味わってもらえないものなのですが、一点ものの美術作品の扱いって美術館側にとっても難しいんですよね。なので一度美術館での展示から離れてみました。機会があれば購入してもらえるような本を作りたいなって。そして当時からずっと付き合っていた彫刻家であった夫の絵を、本に使ってもいい?と聞いて使わせてもらったときにとても面白い本ができたんです。それがシミー書房のはじまりでした。」
実際の作品を見せて頂きました。
「これは手のひらに乗るくらい小さな本なのですが、どなたかに購入してもらうことを前提で作った作品です。読んで楽しんでもらうのはもちろん、この本は開くと蛇腹状になっているので本棚に開いて飾ることによってアート作品として見て楽しんでもらうことも考えて作られています。」
「この本は、アンカット本といって読む人にここをペーパーナイフで切って開いてもらって読むようになっています。本の作りってこうなっているんだと知ってもらえたら面白いなと思って制作しました。」
「これは最後の裁断のときに、丸くカットした本です。先ほどのアンカット本と、カットの段までは一緒のつくりになっています。」
すべてご自宅で印刷・製本をされているので、いかに紙が無駄なく仕上がるかを考えることも、シミー書房さんの本作りは大事な要素になってくるそうです。
分業でひとつの作品を作り出す、シミー書房の成り立ちー
ーどのように作品を生み出していますか?
「もちろん一方通行で終わることはないのですが、基本的には形があって、詩や物語があって、それに合わせて絵を描く。という流れで作っています。市販の本との違いをどう出すか、ものとしていいなと思ってもらえる本はどういうものなのか、そこをよく考えています。」
ー作品作りはお二人で完全に分業されているんですよね?
「詩やストーリー、デザインは私が担当で、絵と製本は夫の岡部が担当しています。岡部がわたしの詩を選んで、わたしが岡部の絵を選びます。自分で選んでしまうと自分にとっての好き嫌いが出てしまうので、お互いに選び合うということをします。それが二人でやっている面白さだと思います。もともとわたし一人で本を作っていたときには、絵ではなく写真を使っていて。自分で書いた詩に自分で絵をつけるのは、説明みたくなってしまうなと思っていたんです。なので誰かと一緒にやってみたかったんですよね。」
ー作品づくりで特に意識していることはなんですか?
「ユーモアを取り入れることかもしれないです。よく可愛いと仰っていただけますが、ただ可愛いだけでなく笑えると言われます。それがいいと言ってもらうことが多くて、とても大事だなあと思います。意識して笑えるものを作ろうとしているわけではないのですが、自然とくすっと笑える作品であることが私たちの良さみたいです。」
ー今後の目標を教えてください!
「本屋さんに、雑貨のひとつではなく本として置いてもらいたいです。あともっともっと多くの人に知ってもらえるような活動をしていきたいです。」
ここからはシミー書房さんにSHAREGARAGEのUVプリンターとコラボレーションしてもらいました。
Adobe Illustratorでデータ作成ー
今回は市販のノートブックにシミー書房さんのオリジナルイラストを、表紙・背表紙・裏表紙にUVプリントします。
印刷物を置きますー
今回使用したノートブックはB5だったので、UVプリンターの中に一度に設置できる枚数は4枚です。
もう少し小さい大きさのものであれば、一度によりたくさんのノートブックに印刷をすることが可能です。
印刷開始ー
表紙・裏表紙は順調に印刷が完了していきます。
問題は背表紙。背表紙にUVプリントを施すのはスタッフもはじめてです。
人の目で印刷位置を調節するのはなかなか難しく、ちょうどよく真ん中にタイトルを印刷するのに苦戦しました。
本やノートの背表紙にUVプリントをしたい方は、MDFなどでしっかり治具をつくったほうがより正確に印刷することができます。
印刷終了ー
SHAREGARAGEを利用してみてー
ー今回はじめてUVプリンターを利用してみてどうでしたか?
「やはり発色が良く、質感も艶やかで綺麗だなと思いました。ただ実際に販売目的の作品を制作すると考えると、コストの問題は大きいと思いました。良質の素材にそれに見合うデザインを印刷をするためのものなのだと実感しました。」
creators file 第19号のシミー書房の新明さん、ありがとうございました!
SHAREGARAGEは作家さんの活動をサポートしていきたいと考えています。ワークショップを開催したいけど場所がない、自分で広報活動をする余裕がない、などの問題を一緒に解決していくことができます。また、レーザーカッターやUVプリンターといった多彩な工作機械とコラボレーションしたワークショップを企画開催することもできますので、ぜひご相談ください!

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